<![CDATA[一般社団法人 日本ジャズ音楽協会 - BLOG]]>Thu, 07 Mar 2024 01:48:27 +0900Weebly<![CDATA[私とジャズ〜映画音楽が育んだ私の聴感覚]]>Sat, 17 Feb 2024 14:45:50 GMThttp://jazz-music-assoc.jp/blog/9610156自分の意思でジャズを聴くようになったのは中学に上がった12歳の時だった。ビッグバンドによるジャズが好きで、わずか数枚のLPを繰り返し聴いていた。1960年の頃で、当時としてはかなり偏ったものだった。

このような嗜好を持った理由は映画の影響だと思う。1950年代に幼稚園や小学校に通う私は、両親に連れられてアメリカ映画をたくさんみせられた。映画好きだった父母は、みたい映画が公開されると幼い私を放っておくわけにもいかず、しばしば子連れで映画館に通ったのである。暗い映画館で二時間も大人しくしているのは苦痛だったが、訳もわからずにみているうちに、私はストーリーよりも映画音楽に耳が奪われていった。

1950年代は映画音楽の大家が腕を振るえた最後の時代だった。古典的名匠のマックス・スタイナー、ディミトリ・ティオムキン、アルフレッド・ニューマン、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト。(当時の)中堅ではバーナード・ハーマン、エルマー・バーンステイン他。

いまでも忘れられないのはエロール・フリン主演の『ロビン・フッドの冒険』『シー・ホーク』など時代物に最高のドラマティック・スコアを書いたコルンゴルトだ。ストーリーもわかりやすく、フリン演じる弓の名手ロビンやソープ船長の活躍と、そのバックで流れるコルンゴルトの爽快な音楽に胸が躍った。

このほかに『南太平洋』をはじめとするミュージカル映画にも魅せられた。要はこれら贅沢極まりなかったハリウッド映画音楽の大管弦楽を使った音楽に惹かれたのである。そこには勇壮、恋情、死闘、大団円を描く分厚いハーモニーを持った音楽が常に付随していた。 

クラシック音楽の歴史でいえば19世紀後半のロマン派から後期印象派。作曲家ではブルックナー、マーラー、ラヴェル、ストラヴィンスキーらの管弦楽曲からの影響が強かった。

こんな少年時代を過ごしたので、自然とクラシック音楽も聴いていたが、ジャズの入り口は多人数で演奏されるビッグバンドになったのである。

高校時代になると野毛のジャズ喫茶ちぐさに通い、1960年代の最新のジャズを聴き、来日ジャズメンの公演は片っ端から聴いてまわった。ベイシー、マイルス、ブレイキー、ロリンズ、コルトレーン、モンク、ピーターソン、MJQ、ゲッツ。すべて故人だが、1948年生まれだから辛うじて間に合ったのである。

中でも1964年初来日のデューク・エリントンを聴けたことは、ビッグバンド好きの私にとって生涯の宝である。
​(理事長 小針俊郎)
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